第45章

草薙さんは目を輝かせた。

「ご承諾いただけたんですか?」

「承諾なんてしていませんよ!」

村上先生は断言を避けた。

「誰が行きたいか聞いてみないと。行きたい人がいれば貸してあげますよ」

草薙さんの瞳が一瞬暗くなった。

傍らにいた青木青は何か言いかけたが、考え直して黙ってしまった。

村上先生と草薙さんがオフィスから出てきたとき、ちょうど訪問者を見送ったばかりの前田南と出くわした。

前田南はひと目で草薙さんだと分かり、挨拶をした。

草薙さんはにこやかに褒め称えた。

「これが君の新しい学生かい。なるほど、確かにいいね。さすがだな、手回しが早い」

「年寄りのくせに、まだふざける...

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